2013年7月7日日曜日

経済成長のための「真の矢」とは 〜世界各国のGDP統計から分かること〜

 政府関係者は「金融の緩和」および「政府支出の拡大」によって日本の経済成長を取り戻そうと尽力されています。しかし、以前に「日本経済低迷の真相」で示した通り、経済学者や政府関係者は事実を見誤っています。

 OECD諸国における「国内総生産(以下「GDP」)」と「人口」の相関を改めてグラフにしました。グラフを見ると、各国は同一線上に位置し「GDP」と「人口」の間にある強い相関を読み取ることができます。
 特に先進7か国は、同一線上にぴったり位置しています。この線の傾きは先進7か国における「1人あたりのGDP」を意味しています。そして、この線より上に位置する国がないことから、世界各国の「1人あたりのGDP」は「世界共通の限界」で収斂するものと考えられます。(※)
 経済成長を目指すにあたり、経済発展中の国々には「1人あたりのGDP」を高める余地があります。一方で、OECD諸国、特に先進7か国においては、グラフの線を見る限り、「1人あたりのGDP」を高める余地がないため、要が「人口増加」なっていると言えます。

 つまり、日本において経済を成長させるための「真の矢」とは、今後人口の自然減少が分かっているなか、「移民政策」や「少子化対策」による「人口増加政策」です。
(おしまい)
※一部の国が線より上に位置してる原因は、母数が少ないほど統計上の誤差が生じやすいことと考えられます。


※世界各国を対象とした相関のグラフを再掲しました。世界に共通する「1人あたりのGDPの限界」を読み取ることができます。
※データは世界銀行より

2013年6月19日水曜日

満員電車で降りれないとき


満員電車において、皆が一斉に降りようとして押し合いになり、誰も下車できない瞬間がままあります。多くの人は、力ずくで出ようとしますが、引っかかり上手く抜け出せません。

何故でしょう? ここには、科学的な根拠があります。

それは、下車する人達が、アーチ形状になり出口に向かうつもりが横隣の人を押し合い、お互いに行く手を阻むためです。アーチ形状は、直角方向の力を分散させます。その効用は古代より知られていて、ダム、橋、トンネルなどで重い物を支える構造として応用されてきました。

下車する人達でアーチを作ると力ずくで出ようとしても引っかかり動けません。

そうなった場合、どう対処すれば良いのでしょうか?

一歩後退することです。アーチが崩れ一斉に前に進めるようになります。本当です。

ps.後ろの方が激怒しない程度に対応してください。

(おしまい)



2013年5月26日日曜日

中国潜水艦への対処方法 〜中国潜水艦は本当に脅威か〜

報道によると中国潜水艦が頻繁に出現しているそうです。日本の漁船は脅威を感じ、報道は中国潜水艦が威嚇していると訴えています。
しかし、東シナ海は深度が200mもない大陸棚です。中国潜水艦が私達にとって本当に脅威なのか、もう少し冷静な考察が必要です。

◯軍事作戦における潜水艦の優位性は何か?
そもそも軍事作戦における潜水艦の優位な点は、海に深く潜ることにより、敵に位置を特定されることなく突然海面に浮上して相手の不意をついた攻撃ができることです。
旧ソ連にとって、アメリカ原子力潜水艦の脅威は、航行位置を補足できず、戦争になった場合に原子力潜水艦の弾道ミサイルに対処できないことでした。

◯潜水艦の弱点は何か?
潜水艦自身は攻撃に弱いため、発見された時点でその優位性をほとんど失ってしまいます。敵の攻撃から身を守るためには、敵の攻撃力を先に奪うか、海深く潜り追跡をかわすしか術がありません。そのため、浅瀬を航行していては全く役に立ちません。

◯中国潜水艦は日本の脅威か?
ところが、日米は、中国潜水艦を哨戒によって捕捉できます。なぜなら、深さ200mもない大陸棚がつづく東シナ海においては、潜水艦はその姿を消す事ができないためです。潜水艦は、東シナ海を航行している限り軍事的な意味をなしえません。報道によると、中国潜水艦が潜水したまま日本近海に接近しているとのことです。中国潜水艦は、その位置が日本で報道されている時点で、もはや軍事的な意味をなしていないと言えます。
(参考)漢級原子力潜水艦領海侵犯事件

◯日本は、中国潜水艦にどう対応すれば良いか?
仮に中国と日本が戦争になった場合、中国潜水艦は、日本の太平洋における輸送路を断つため、太平洋側に出ようとするでしょう。それに対し日本は、中国潜水艦を大陸棚から出る前に撃沈すれば良いことになります。

中国潜水艦に対し、大陸棚という地形を有効活用し、日頃からその位置を的確に捕捉していれば、有事においても有効に処理できると言えます。
(おしまい)

東シナ海水深図 

水産庁 我が国周辺の水産資源より


海 底 地 形 図

海上保安庁海洋情報部 海 底 地 形 図より


2013年4月29日月曜日

日本人も「移住」すべき

日本の景気が低迷する中、私達日本人は何をすべきでしょうか?このまま、政府の負債発行信用力に頼って「空」仕事を求め続けるべきでしょうか?

アメリカでは、ゴールドラッシュの頃、砂金を求めてカルフォニアに人が殺到しました。航空機産業や映画産業が栄えるとロサンゼルスに人が集まりました。自動車産業の発展とともにデトロイトに人が集まり、宇宙開発予算が増えるとヒューストンに人が集まりました。アメリカ人は、生活するため仕事を求めて住居先を変えます。そのため色々と学習もしています。

では、債務危機に陥ったギリシャの国民は何をしているのでしょうか?
失業率の推移を、ギリシャとドイツで比較してみました。

グラフの失業率を見ると、ギリシャでは、2008年から急激に上昇し、直近では25%を超える異常な状態が続いています。一方でドイツでは、一時的にわずかに上昇したものの低下し続け、直近では5%近くまで落ち着いてきました。同一通貨圏内で、この失業率の明暗は驚きです。ギリシャ人は、国内に仕事がないものの居座り続けているようです。

仕事のない廃れ行く地域に人は集まりません。結局、人口も増えず、需要も喚起されません。グラフを見て分かることは、「ギリシャ人は、さっさとドイツ語でも勉強しドイツに仕事を求めて移住すべき」ということです。

ひるがえって、日本では、どうでしょうか?政府は、「仕事(需要)が不足している」ことから、「穴を掘って埋める」ような公共工事などを毎年30兆円の規模で行なってきました。今や支出を、100兆円にもなるものの、止めると失業者が溢れるため、モルヒネのように続けなければなりません。政府は、「真」の仕事にありつけない人のために、大規模に「空」の仕事を作り、無駄な投資をしているとも言えます。

でも本当は、日本人も、そのような政府に頼るのではなく、アメリカ人同様、きちんと勉強し仕事のある地域や外国に「移住」するべきかもしれません。
(おしまい)

2013年4月27日土曜日

輸出立国の嘘(日本のGDP統計内訳から分かること)

多くの日本人は、日本の事を「輸出立国」と教わり、貿易黒字こそが日本の経済を支えていると信じています。著名な経済評論家も同様です。
しかし、日本のGDP統計と貿易統計を見ると、高度成長期は貿易赤字、「失われた20年」が貿易黒字であり、事実は異なっていることが分かります。

●2012年はどうったたか?(貿易赤字)
2012年の国内総生産の名目値(以下GDP)は474.9兆円でした。主な内訳は、民間消費が289.8兆円(占率58%)、政府最終消費支出が97.6兆円(同19%)、民間企業設備63.8兆円(同13%)でした。純輸出(以下貿易収支)はマイナス9.5兆円(同マイナス2%)でした。2012年、日本は、貿易収支がマイナス(貿易赤字)だったものの、GDPが依然として474.9兆円もあり、輸出立国でなかったことが分かります。

●2012年以前はどうたったか?(貿易収支はほとんど変化しなかった)
では、これまで、GDPと貿易収支はどう推移してきたでしょうか?はたして貿易黒字が高度成長期の主たる要因だったのでしょうか?1960年以降の「GDP」と「貿易収支」「輸出総額」「輸入総額」をまとめてみました。次のグラフを見ると、年々、輸出の拡大とともに、輸入も拡大していたことが分かります。結局、GDPの拡大とは裏腹に、輸出から輸入を引いた貿易収支はほとんど変化していなかったことが分かります。日本は、2012年以前もずっと輸出立国でなかったことが分かります。


●貿易収支のGDPへの寄与度はどうか?(GDPに占める貿易収支の割合は3%以下)
1960年以降の「GDPに占める貿易収支の割合」と「GDPの伸び率」をまとめてみました。「GDPに占める貿易収支の割合」を見ると、貿易収支は、高度成長期(1970年まで)に、マイナスか0%ぐらいでありGDPに全く寄与していなかったことが分かります。また、バブル期の1986年にピーク(3%)に届いた後、バブル崩壊以降は一貫してブラスでした。経済低迷で失われた20年こそ、貿易収支が輸入減少によりようやくGDPに寄与したと言えます。(と言っても全体のわずか2〜3%です。)このグラフからも、日本は、高度成長期の頃からして輸出立国ではなかったことが分かります。


●何が日本の景気を左右しているのか?
これまで見てきたとおり、貿易収支は、輸出入で均衡するため、日本のGDPにほとんど影響してこなかったと言えます。ならば、昨今、日本の景気が低迷している原因は、何でしょうか?私は、日本の一人当たりのGDPが世界平均に追いつ(参考1)、そこに加えて人口の伸びが止まったこと(参考2)と考えています。

「輸出立国」と聞いて、日本のことを外貨をどんどん稼ぎ大幅な貿易黒字を達成しなければならない国と考えているのであれば、それは誤りです。

(追伸)
純輸出の累積を見ると、1950年から1980年までは、マイナス1 兆円の輸入超過でした。一方、1981年から2012年までが、260兆円の輸出超過になりました。つまり、高度成長期は貿易赤字国、「失われた20年」は貿易黒字国でした貿易黒字でGDPをプラスにするという考え方は間違っていると言えます

●(参考)
内閣府ホーム  国民経済計算(GDP統計)年次GDP実額 名目暦年
世界銀行のGDPより (constant 2000 US$を1$110 円として円に換算)
財務省貿易統計  年別輸出入総額(確定値)
     
(おしまい)

関連ページ

日本経済低迷の真相(世界の人口とGDP)
日本経済低迷の真相(日本の人口とGDP)


2013年4月13日土曜日

日本は依然として閉鎖的

「グローバル化」が認識されてから随分と年月が立ちました。巷には外国ブランドや横文字が溢れ、外国人やハーフがテレビに出演しているため、日本もグローバル化の波に乗り第二の開国を成し遂げつつあると感じている人も多いと思います。
しかし、私は、日本のことをつくづく「閉鎖的な国」だと感じています。

今日もそれを強く感じる出来事がありました。

渋谷でコーヒーを飲んでいたとき、隣に座っていた韓国人2人に、路線図やiPhoneを見ながら困惑していたため英語で声をかけてあげました。その韓国人が「アシアゲがどこか分からない」と言うので、私が問いただすと彼らの目的地は「スカイツーリー」でした。駅名が分からず困っていたのかと思いきや、彼らのもっていた路線図には、JRのものだったため、メトロや私鉄は省略され「押上駅」が記載されていませんでした。しかも、漢字主体で表記され、駅名に小さなローマ字の記載があるだけでした。また、他の鉄道会社についての注意書きなどいっさいありませんでした。彼らは自分たちが「アシアゲ」を見落としているに違いないと必死に探していたわけでした。
私は、「押上駅」まので行き方を説明し、駅名に関して漢字とローマ字でメモも書いてあげました。

韓国では、日本語、中国語、英語のガイドが町中に溢れています。路線図もとても見やすくできています。また、日本語が、どこに行っても通じます。レストランはもとよりマクドナルドや地元向け量販店ですら通じます。小さな飲食店などは、日本語を話せる人がいない場合でも、少なくても写真付きの日本語メニューが置いてあり、誰でも簡単に注文できます。路上や駅で地図や路線図などを見ていると、必ず誰かが日本語で声をかけ助けようとしてくれます。大学卒業者は皆、英語、中国語、日本語のいずれかを話せます。大学を卒業していなくても、商売する人であれば、外国語を片言で話そうとします。インチョン空港では、飛行機を降りたところの看板の一行目に日本語で「ようこそいらっしゃいませ」と書いてあります。私達外国人を歓迎していることを強烈に感じます。

一方、日本では、外国人向け観光ガイドがどこにあるのか分かりません。外国人向け地図すら町や商店街に置いていません。各鉄道会社の路線図は、駅名や路線名を日本語を主体に表記し、さらに自社の路線しか記載していません。外国人向けの、見やすい、統合したものがありません。小売店では、韓国語や中国語がほとんど通じませんし、英語ですら通じる場所が限られています。道に迷う外人がいても声をかける人はいません。そのため、外国人観光客は、スマホとgoogleマップにより少しは自分で探索できるものの、電池が切れたら孤立してしまいます。成田空港の入国ゲートの看板には、一行目に「お帰りなさい」とだけ日本語で書いてあります。まるで外国人を無視しているようです。

日本を訪れた外国人観光客は、日本のことを、未だに閉鎖的な理解しがたい国と感じているに違いありません。

(おしまい)


2013年4月2日火曜日

輸出立国の嘘(貿易赤字も健全)



多くの人は、日本のことを、貿易黒字によって経済が成り立つ、「輸出立国」と考えています。つまり、輸出総額が輸入総額を大幅に上回れば、お金がじゃぶじゃぶ国内に流入すると考えています。そのため、貿易黒字を善、貿易赤字を悪と受け止めています。多くの著名な評論家や経済学者も同様です。
しかし、そう考える方は、為替取引と国内通貨量の簡単な関係を理解していません。実際は、輸出がいくら伸びても、日本国民はお金持ちになれません。

そもそも、輸出立国の信者は、「輸出で得た外貨が国内にそのまま流入する」ことを前提に考えています。しかし、海外旅行経験者であれば、誰しもこの前提に「はて?」と思うはずです。

具体的に自動車を輸出する事例を考えてみます。自動車メーカは、アメリカで自動車を売ることにより、対価として当然アメリカの通貨「ドル」を受け取ります。しかし、彼らはその「ドル」を、日本国内で利用できないため、為替取引により「円」に両替する必要があります。この為替取引により、自動車を売ったことの「対価」を初めて日本国内で利用できます。輸出で得た外貨は国内で流通しません。

重要なことは、為替取引により、自動車メーカが円を取得し円の保有を増やす過程で、金融機関など為替取引相手が円を手放し円の保有を減らすことです。つまり両者の円保有の総和は変化しない点です。ここで簡単な法則の存在に気がつきます。それは、「輸出で外貨を得ても、日本で流通する円の量は変化しない」ことです。


輸出によって得られるものは、外貨であり、外国の物や外国債を購入するための権利です。つまり、輸入を差し引いて余るほどの外貨を稼いでも、円建ての経済には寄与しません。単に輸出を拡大しても景気は良くなりません。

これからの日本は、輸出で外貨(外国債)を貯めることばかりせず、これまでの外債を活用して外国からの輸入を拡大し収支不均衡を是正するべきです。昨今の貿易赤字は健全と言えます。
(おしまい)

            ※図は時事ドットコムより