2012年1月8日日曜日

子育負担をしない夫婦には「年金受給資格」がない 〜持続可能な年金制度とは〜

多くの人は、「年金保険料を納めることで将来の年金受給資格を取得できる」「納めた年金保険料相当の年金を受け取る権利がある」と考えています。また、国営年金を「積立方式」にすれば良いと主張する人もいます。しかし、いずれの人も、年金の本質を理解していません。

○年金原資を納めているのは、誰か?
そもそも、国民が納めた年金保険料は、将来の支払準備のために貯蓄されることなく、そっくりそのまま退職世代に渡されています。つまり年金原資は、退職世代の蓄えによるものではなく、現役世代が負担しています。

○年金が破綻する理由
年金の運営にあたり、収支を一致させる必要があります。社会が高齢化すると保険料収入は減少するため、退職者一人当たりの年金受給額を削減するか、現役世代の年金保険料を増加させる必要があります。しかし、冒頭の誤った認識を持つ人が多いため、政治的に実現できず破綻を招くのです。

○「積立方式」で問題は解決するのか?
「積立方式」とは、現役世代に年金保険料の負担を求めるのではなく、国民一人ひとりが老後に備えて積立するという考え方です。はたして問題は解決するのでしょうか?極端な例を考えると分かります。例えば、国民全員が将来の支出に備えた積立を完了して定年退職したと仮定します。担い手である現役世代がいない状況です。この場合、国庫にいくら積立があろうと、担い手がいない状況なので、「定年後は遊んで暮らす」という夢は実現しません。国営年金においては、将来のための積立てができないのです。

○年金問題の本質
国は年金原資を積立ることができないため、国民の年金受給総額は国民総生産を超えることができません。労働人口の減少により国民総生産が逓減するなか、年金受給者が増えれば一人あたりの受給額は減って当然です。年金問題の本質は、受給者と負担者の割合です。

○どうすれば良いのか?
年金を安定して運営するためには、負担者と受給者の割合を均衡させる必要があります。そもそも年金とは、自分を育てた親への孝行と言えます。ということは、子育負担に応じて年金を支給すればよいのです。例えば、子供を3人育てた夫婦には3人分、1人育てた夫婦には1人分の年金を支給します。これにより、負担者と受給者の割合は安定化し年金運営も持続的なものになります。子供を育てるインセンティブも働きます。

子育てを負担しない夫婦に年金受給の資格はないと言えます。

(おしまい)

政府所管の年金に関する誤解 つづき
http://kazukat.blogspot.jp/2011/07/blog-post_09.html

政府所管の年金に関する誤解
http://kazukat.blogspot.jp/2011/07/blog-post_06.html

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