2012年3月4日日曜日

日本経済低迷の真相

日本経済は長いこと低迷しています。
その原因は一体どこにあるのでしょうかか?円高による輸出競争力の低下と言う人もいますが、はたして本当でしょうか?

それを確認するため、先ずは、景気低迷がいつ始まったのか、見ましょう。
アメリカと日本のGDP推移を比較しました。
アメリカは順調に経済拡大してきたにも関わらず、日本経済は1995年から横ばいになっていることが分かります。日本の景気低迷が顕在化したのは1995年と言えます。

円高のきっかけとなったプラザ合意は1885年ですから、為替ではどうもうまく説明できません。

それでは、バブル崩壊が原因でしょうか?日銀が金融引き締めに転じたのは1989年末。翌年の1990年に日経平均株価は9ヶ月で半分まで下がり、バブルが崩壊しました。上記のGDP下落の時期とは少しずれています。バブル崩壊がきっかけとしても、それだけではうまく説明できません。

政変が原因でしょうか?日本新党の細川政権が樹立したのは、1993年です。これも少しずれているように見えます。バブル崩壊以後、自民党も含めて首相が毎年変わってきたことを考えると、政変で景気が低迷したと考えるより、バブル経済崩壊によって政治が安定しなくなったと考える方が自然です。

金融緩和が不十分なのでしょうか?いいえ、バブル崩壊以降、日銀はずっとゼロ金利政策を維持してきました。むしろ経済成長していた時期の方が政策金利は高かかったではありませんか。ましてや、デフレの状況では実質金利を下げることはできません。

次の図を見てください。生産年齢(15歳〜64歳)人口とGDPの推移をグラフにしました。

生産年齢人口は1995年をピークに下落し、景気低迷が始まった年と一致していることが分かります。これは偶然でしょうか?私は、「生産年齢人口の減少」が日本の景気低迷をかなりうまく説明できていると考えます。つまり、働く人が減ったことにより、日本全体の収入の伸びが止まり、日本の長期景気低迷を招いたのです。家庭で働き手が遊びふければ収入は減るのと同じ理屈です。難しい経済理論は不要です。とても分かりやすい考え方です。

バブル崩壊で先に収入が減り、そのため、出生人数も減少したのではないかとの意見もあります。しかし、それではうまく説明できません。生産年齢人口は15歳以上を対象としており、その減少は15年以上前、つまりバブル以前に起因するからです。また、バブル崩壊前後の出生人数は横ばいでした。

これを見る限り、日本の景気が長期低迷に至った原因は、1980年以前から始まった出生率の低下と言えます。

生産年齢人口が減少しているにも関わらず、GDPがかろうじて横ばいになっていますが、政府支出の拡大等によるものです。生産年齢人口が減少している状況で、継続はできないでしょう。人口動態推計から、日本の生産年齢人口は、今後も減少し続けることが分かっています。日本の景気は、今後も更に後退するものと考えています。

(おしまい)

2 件のコメント:

  1. 俺はそれだけではないと思うな。
    1995年はwindows95が発売され
    情報革命により、
    IT元年とも言われる世の中が大きく構造転換した年だ。
    それを主導したアメリカと、その構造転換にうまく適応できなかった日本の差なのではないだろうか。

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  2. 面白いご意見ありがとうございます。
    そう考えるなら、windows95がどう影響したのか、是非、データなどの事実を確認していただければよろしいと思います。

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