2016年1月5日火曜日

民主主義より優先されるもの 〜イラクやシリアに必要なもの〜

昨今の中東における紛争や宗派対立を見ていると、民主主義が一番と必ずしも言い切れないことを思い知らされます。

イラクは、アメリカが占領し暫定統治したにもかかわらず、その後国内において宗派対立が浮上し、民主化プロセスを上手く進行させていません。改めて中東の地図を見ますと、対立するサウジアラビア(スンニ派)とイラン(シーア派)の両大国の中間に、イラクが緩衝地帯として位置していることを見て取れます。

このような緩衝地帯においては、両宗派が入り乱れ争いも絶えないことから、国としての統治が極めて難しいと言えそうです。そのような不安定な地域に、突如として民主主義を持ち込んでも紛争を解決できそうにありません。むしろ強権的な独裁主義の方が宗派間の紛争を抑え込むことで平和を維持できると考えられます。実際、かつてフセイン大統領は、アメリカが侵略するまで、この不安定な地域において強権的な独裁体制によって平和を維持し続けました。フセイン大統領は、地域平和に必然だったのです。

人々は、何はともあれ、地域が統治され治安が維持されてこそ平和に暮らすことができます。紛争が頻発するような地域で安心して生活できません。アメリカの侵略とアラブの春によって民衆(宗派)が分裂し国土が荒廃していくイラクとシリアのそれぞれの国内情勢を見ていると、民主主義が一番と必ずしも言い切れず、時によっては強権的な独裁政権に委ねてでも、先ずは地域の統治が優先されるべきということを思い知らされるのです。(おしまい)





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