2012年1月22日日曜日

放射線に対する考え方


現状の統計分析結果を見て安全と断言する人に不安を感じます。

福島原発の放射線による人体への影響は、これまでの統計分析結果によると、喫煙リスク程度しかないということです。一方で、線量は距離の二乗に反比例し距離が10分の1に近づくと100倍になるので、放射性物質は体内に取り込んでしまうなど極端に近ずけると微量でも影響を無視できない、との考え方に一定の合理性を感じます。

セシウム137が500Bq/kgという微量の放射性物質を、「食べ続けると発病する」という実験結果が無いのと同じように、「食べ続けても発病しない」という実験結果もありません。つまり、人体実験による実証データがなく、真相は「分からない」という状況です。

そのため、統計的分析によって評価している訳ですが、統計的分析は分析の切口や母集団の捉え方によって観測結果が大きく異なってしまい、分析結果が必ずしも真実を表現できている分けではありません。

つまり認識可能な事象の発生確率が低いとしても、実際全ての人に影響が少ないかというと、必ずしもそうとは言い切れない部分が残ってしまします。放射線物質による人体への影響を認識できないのは、統計分析に耐える単位や切り口、測定方法が未だないからかも知れません。実際、甲状腺癌になったチェルノブイリ原発近辺の子供達が100mSv以上受けたのか、発癌した子供と発癌しなかった子供を分けた原因は何だったのか、良く分かっていません。

面白い話があります。私が遠隔地のサーバ運用を任命された時のことです。ある日、遠隔地サーバの正常起動を確認できなかったので、担当の技術者に調べるよう指示しました。担当は手元にエラー通知が届いていないので問題ないと私に報告しました。私は不安となり、現場に直接出向いて動作状況を目で確認するよう指示しました。返ってきた報告は、「そもそもサーバが起動しなかったので、エラーイベントすら出せない状況でした、、、」。このことは、物事が「白・黒」の二値では表現できないことを示唆しており、問題を認識できない場合にどちらと考えておくべきかということを示しています。

微量の放射線による人体への影響有無に関して、未だ証明されていないと考えています。しかし、危険を認識できないからと言って、安全と決めつけることは誤りです。

(おしまい)

ps 私個人は、福島産の農作物などを何も気にせず食べています。

2012年1月8日日曜日

子育負担をしない夫婦には「年金受給資格」がない 〜持続可能な年金制度とは〜

多くの人は、「年金保険料を納めることで将来の年金受給資格を取得できる」「納めた年金保険料相当の年金を受け取る権利がある」と考えています。また、国営年金を「積立方式」にすれば良いと主張する人もいます。しかし、いずれの人も、年金の本質を理解していません。

○年金原資を納めているのは、誰か?
そもそも、国民が納めた年金保険料は、将来の支払準備のために貯蓄されることなく、そっくりそのまま退職世代に渡されています。つまり年金原資は、退職世代の蓄えによるものではなく、現役世代が負担しています。

○年金が破綻する理由
年金の運営にあたり、収支を一致させる必要があります。社会が高齢化すると保険料収入は減少するため、退職者一人当たりの年金受給額を削減するか、現役世代の年金保険料を増加させる必要があります。しかし、冒頭の誤った認識を持つ人が多いため、政治的に実現できず破綻を招くのです。

○「積立方式」で問題は解決するのか?
「積立方式」とは、現役世代に年金保険料の負担を求めるのではなく、国民一人ひとりが老後に備えて積立するという考え方です。はたして問題は解決するのでしょうか?極端な例を考えると分かります。例えば、国民全員が将来の支出に備えた積立を完了して定年退職したと仮定します。担い手である現役世代がいない状況です。この場合、国庫にいくら積立があろうと、担い手がいない状況なので、「定年後は遊んで暮らす」という夢は実現しません。国営年金においては、将来のための積立てができないのです。

○年金問題の本質
国は年金原資を積立ることができないため、国民の年金受給総額は国民総生産を超えることができません。労働人口の減少により国民総生産が逓減するなか、年金受給者が増えれば一人あたりの受給額は減って当然です。年金問題の本質は、受給者と負担者の割合です。

○どうすれば良いのか?
年金を安定して運営するためには、負担者と受給者の割合を均衡させる必要があります。そもそも年金とは、自分を育てた親への孝行と言えます。ということは、子育負担に応じて年金を支給すればよいのです。例えば、子供を3人育てた夫婦には3人分、1人育てた夫婦には1人分の年金を支給します。これにより、負担者と受給者の割合は安定化し年金運営も持続的なものになります。子供を育てるインセンティブも働きます。

子育てを負担しない夫婦に年金受給の資格はないと言えます。

(おしまい)

政府所管の年金に関する誤解 つづき
http://kazukat.blogspot.jp/2011/07/blog-post_09.html

政府所管の年金に関する誤解
http://kazukat.blogspot.jp/2011/07/blog-post_06.html