私は、先進国において、GDPが主として人口に比例することを何度も説明してきました。(参考)
日本は、人口の減少により大きな経済成長を見込めないなか、一人当たりのGDPを改善したいところです。一方で、社会の高齢化による社会保険料の負担も大きな課題となっています。一人当たりのGDPを向上することで、経済をわずかでも成長なり維持しなけなければならない状況です。
そこで、GDP成長率と社会保障の負担率がどう相関するのか国別データで見てみました。今回は、OECDから国別データを取得しました。GDP成長率については、一人当たりの実質GDP成長率(年率)を2010年〜2013年(4年間)について平均しました。社会保障の負担については、GDPに占める社会保障負担率(Social expenditure)を2010年と2013年(2年分)で平均しました。社会保障負担率を2年分のみとした理由は、データ取得元のOECDに毎年のデータが無かったからです。
国別の「一人当たりの実質GDP成長率(年率)」(縦軸)と「社会保障負担率( Social expenditure)」(横軸)の相関は下図の通りとなりました。グラフを見ると、社会保障負担率の高い国ほど、成長率は低いことを見て取れます。
グラフをクリックすると拡大されます。
グラフはあくまで相関図であり因果を示すものではありません。隠れた因子があり、たまたま相関が見えるだけかもしれません。しかし私達には、安全で安心でありたいことから、国に対し社会保障を多く求めます。そのことは必死からの逃避でもあり怠惰でもあるかもしれません。グラフはそのことを裏付けているようにも見えます。社会保障の充実はむしろ国民を堕落させ成長率を鈍らせると言えるのかもしれません。(おしまい)
参考
OECD 統計 http://www.oecd-ilibrary.org/statistics
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出世率低下の原因 http://kazukat.blogspot.jp/2013/07/blog-post.html
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2017年10月15日日曜日
2017年8月26日土曜日
大学教授の役割 〜原発行政と教育内容〜
放送大学は、東大教授のなど日本の権威による講義を無料で放送するなど、素晴らしい取り組みをしています。私は、最近、YouTubeばかりでテレビを見る機会がうんと減りましたが、それでも放送大学はしばしば視聴します。
今回その放送大学の番組において、東京大学の寺井教授が原子力エネルギーと発電について講義されました。講義内容は、原子力エネルギーの原理から発電の仕組みや安全性に対する考え方や課題などを幅広く網羅しながらも、極めて平易で短時間にまとめられており素晴らしいものでした。しかし、原発が世間の信頼を完全に失っている中、メリットと安全性を繰り返し強調された点はある意味滑稽でした。
現状、原発問題の本質は何でしょうか?例えば、建築中の家において、下水道の整備や便器の設置をする前に、用たしするでしょうか?どうしても急ぎたいとのことから「大」をするでしょうか?当たり前のことですがそのような事をする人はいないでしょう。同様に使用済み核燃料廃棄場の無い日本において原発をどうして稼働できるのでしょうか?つまり原発エネルギーを利用することのデメリットはゴミ廃棄問題です。権威は高速増殖炉によりゴミを再利用することでゴミ問題を解決できるとしていますが、未達成です。日本は、ロシアやカナダなどの大陸にある国にゴミ問題を引き受けてもらう必要があります。つまり、原発により、エネルギーの輸入元をリスク分散できるものの、逆にゴミ廃棄先への依存リスクを新たに生んでしまうのです。
福島原発以来、私達国民は、「使用済み核燃料の廃棄場所が、地質学的にみて、日本に存在しえるのか?」と言った本質についても課題認識を持つように変わりました。しかし、教授は、残念ながら今回の番組においてそういった核心には触れませんでした。短い時間しか無かったとは言え極めて偏った意見に見えました。
人は、真実を追求するものの永遠に知りえません。そのため頭の良い人でも賛否意見が割れてしまいます。そのことから大学教授も、学問における最高権威であるものの、完全に正しいとは言えません。私達は、東大教授のことを、最高権威であることから絶対視する傾向にあります。しかし、教授という職業は、なかでも国立の権威ある立場においては、政府の都合の良い代弁者でもあるようです。
政治は、権威による偏った見方を回避するためにも、賛成派、反対派、右派、左派それぞれから大学教授を選定すべきです。今回、その点に改めて気づいたことが、番組から得た一番の収穫でした。(おしまい)
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