私は、NHK-BS放送の「ワールドニュース」を5年間以上毎日見続けることで、一つの大きな疑問にぶち当たってました。「どうして世界の各公共放送は、一つの事実を、同じであるはずにもかかわらず、全く異なる見方で放送しているのか?」。例えば、シリア情勢に関しては、真実は1つであるはずのところ、ロシア放送とドイツ放送は、それぞれ異なる断片を切り取り、180度異なる見方を放送してました。アメリカの国内問題についても、真実は1つであるはずのところ、ロシア放送とアメリカの公共放送で全く異なる見方で放送してます。
私はその答えについて、最近までは、「各国の公共放送は中央政府の意向に逆らえないから」と考えてました。つまり、ロシア放送はプーチン大統領に、アメリカの公共放送はアメリカ大統領に迎合しなければならないと。しかし、トランプ大統領の出現によって、その考え方は、完全に否定されました。アメリカの公共放送を含む主要メディアは4年間「トランプ批判」を毎日のように放送しました。実際は、公共放送が権力に迎合する必然性はなかったのです。
考え方の転機は、新型コロナの出現によって訪れました。今、世界の公共放送にとても興味深い現象が起きているのです。世界の公共放送が一様に、科学者による科学的な見方は伝えず、専門家の主張する「恐怖だけを切り出して」放送し続けています。ロシアでも、中国でも、アメリカでも、新型コロナの恐怖を煽る点でまっく同じ見解です。世界の公共放送が、一つの事象について、同じ偏向報道に収斂したことは、5年間で初めてのことです。
ところで、私たち人間は、大脳が発達したとは言え、動物の一種であるから、危機から本能的に逃避するようプログラムされていると考えられています。そのため、よく知らない事象については、大脳で科学的に思考する前に、どうしても本能的に「恐怖」だけに意識を集中してしまいます。実際、著書「ファクトフルネス」によると、世界的脅威に関するテスト問題について、「世界中の高学歴者、実業家、権威者、政治家でさえも、最も悲観的な回答を選択してしまい、正解率は猿より低かった」とのことです。つまり私たちは、脅威に関して、教育や知識のレベルに関係なく、本能や潜在意識から極端に悲観的に考える傾向があるのです。
そしてついに私は、公共放送に関わる普遍的法則を発見するに至りました。それは、事実かフェイクにかかわらず、科学か似非科学にかかわらず、「公共放送とは国民共通の恐怖感情を放送するもの」だと。上記のことから、私達は潜在意識のうちに突拍子もない悲観的なニュースを求めています。人はどうしても本能的に物事を悲観的に受け止める傾向から、ジャーナリストは突拍子もない事件や悲観的な事故を探しているのでしょう。そして私たちは、公共放送を見ることで、潜在意識から直感で「危機」を強く感じて「恐怖」に支配され、科学的な判断ができなくなり、ますます公共放送に依存してしまうのです。
私達は、動物の様な恐怖本能から離れて、人として物事を科学的に見たいのであれば、NHKを鵜呑みにしてはならないと言えます。
「メディアの言うことを信じて世界の姿を決めつけるなんて、私の足の写真を見ただけで、私の全てを理解した気になるようなものだ。」ハンス・ロスリング
おしまい
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