2013年1月14日月曜日

Google Map 「交通情報」の限界

1月14日、東京は大雪に見舞われました。都内の道路は、各所で渋滞しました。首都高速も、方々で「通行止め」や「チェーン規制」により利用を制限されました。こういう時こそ車の運転者は、「交通情報」をリアルタイムに取得したいことでしょう。

「GoogleMap」は、利用者の位置情報を吸い上げることで、独自にリアルタイムの渋滞情報を提供しています。高速道路はもとより一般道を含め、あらゆる道路に対応しています。道路運営側から情報提供を受けていないことの強みです。

しかし、私は、かねてから「GoogleMap」が雪の日に真価を発揮できるか疑問を感じていました。本日、早速、日本道路交通情報センター(JARTIC)の道路交通情報と、Google Map の交通情報を比較してみました。

東京外環道路は、大雪により、「通行止め」になりました。同時刻、JARTICの道路交通情報は「通行止め」を表示しましたが、Google Map の交通情報は「渋滞」しか表示しませんでした。

残念ながら、Google Map の交通情報は、道路運営側の情報と連動していないため、「通行止め」に対応できていないようです。私達は、「通行止め」や「チェーン規制」が実施された場合、日本道路交通情報センター(JARTIC)の提供情報と併用する方が良さそうです。

 ●日本道路交通情報センター(JARTIC)提供の渋滞情報
 東京外環道路に「通行止め(黒色)の表示

Google Map に表示される交通情報
 東京外環道路に「渋滞(赤色や黄色)」の表示(交通止め表示なし)
(おしまい)

2013年1月1日火曜日

思いつき政策からの脱却


政策立案者(政治家や官僚)は、経済学の支援なしに政策を立案できません。経済学は私達の生活に大きく影響していると言えます。しかし、今日の経済学は社会学であり科学ではありません。困難な今こそ、より科学的な見地に基づく経済理論の構築と政策判断が求められています。

科学者と経済学者のデータに対する接し方を見比べると、彼らの取り組みの違いに気づきます。

科学者は、仮説を提唱した後、実験によってその仮説を証明しようとします。実験による裏付けを得ることで、仮説が正しかったと判断します。予想に反した実験データを得た場合、実験方法や仮説を間違えていたのではないかと自問します。目の前のデータを素直に直視し、時には仮説を修正します。ノーベル賞を受賞した山中教授も「予期していなかったデータこそ重要」と話していました。科学は、そういった地道な自問を繰り返し、仮説を一つ一つ積み重ね、火星に探査機を送ったり遺伝子から細胞をつくったりするなど発展し、今日に至りました。

一方で経済学者は、自分たちが若い頃に習った仮説を是とし、考え方を変えようとしません。データに対しても、説明のつくデータに着目し、説明のつかないデータには目もくれません。データが示す事実を直視しようとしません。そのため、マクロ経済に関し、100年の議論を経た今でも大きく2手に分かれており、入門書の内容ですら意見が一致していません。マクロ経済学も今日までほとんど進歩していません。アメリカ大統領選挙において、候補者や有識者は醜い論争を1年間繰り広げましたが、米国民は何も得ていないように見受けられます。

経済学の観察対象とするデータは膨大にあります。経済学者アダムスミスが「見えざる手」を提唱した18世紀には、コンピュータが未だありませんでした。これまでは、それらのデータを分析することが不可能だったかもしれません。しかし、コンピュータ技術の発達した今日においては、誰でもそれらのデータを簡単に分析できます。

困難な今こそ、政治家および評論家による思いつき、学者および官僚による誤った考えから脱却し、より科学的な見地に基づく経済理論の構築と現実的な政策判断が必要です。

アダム・スミス

(おしまい)